工芸とおやつについて

2024年開催『民藝 MINGEI―美は暮らしのなかにある』世田谷美術館にて

「工藝の美を決定するものは、それがどれだけ美的に作られているかということではなく、それがどれだけ用途のためにつくられているかということである」(*1)

民藝運動の父、柳宗悦のことばです。
宗悦は「用途に則さずして工藝の美はあり得ない」(*2)として、より多くの用途に結びつく、名もなき日用品のなかにこそ工藝の美が存在すると述べました。
これは「用の美」として広く知られています。

さらに宗悦は「用」について、単に物への用だけではなく、心への用でもあるべきだと語っています。
たしかに、物を使うときは手に触れて、その使い心地を五感で感じます。
そのときの心地よさは幸福感にほかなりません。

では、彼はどのような日用品に美を見出していたのでしょうか。
それを知りたくて、いそいそと工芸展に出かけてみるも、出品されている品々は当然貴重な工芸品。
もちろん手に触れることなどできません。
その緻密で美しい造形に、この銘品はほんとう日用品として使われていたものなのだろうか……という疑念に駆られることも。

というわけで、五感で味わえる工芸品の美を追い求めてみようと思い立ちました。
心への用を満たす、使い心地のよい工芸品とはどんなものだろう。

それともうひとつ。
古来から、ひとの心とお腹を満たしてきたおいしいおやつについても。
美しくておいしい、というのは、工芸品に通じるものがあります……よね。

工芸品についてもおやつについても、個人ブログということでとにかく主観的ではありますが、参考のひとつにしていただけたらうれしいです。
おそらく、購入のしやすさからいっておやつの記事が多めになりそうです……

そんなに頻繁には、そんなに高価なものは、なかなか手に入れることはできませんが、すてきな逸品を少しずつのんびりご紹介できたらと思います。



出典
*1、*2:柳宗悦『民藝とは何か』、講談社、2006年、p65-66

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執筆者プロフィール

神奈川県出身、在住。主婦、ときどきWebライター。
絵画やものづくりについてのコラムを執筆しています。
美術館、雑貨店、焼き菓子とコーヒーが大好き。

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