
「工藝の美を決定するものは、それがどれだけ美的に作られているかということではなく、それがどれだけ用途のためにつくられているかということである」(*1)
民藝運動の父、柳宗悦のことばです。
宗悦は「用途に則さずして工藝の美はあり得ない」(*2)として、より多くの用途に結びつく、名もなき日用品のなかにこそ工藝の美が存在すると述べました。
これは「用の美」として広く知られています。
さらに宗悦は「用」について、単に物への用だけではなく、心への用でもあるべきだと語っています。
たしかに、物を使うときは手に触れて、その使い心地を五感で感じます。
そのときの心地よさは幸福感にほかなりません。
では、彼はどのような日用品に美を見出していたのでしょうか。
それを知りたくて、いそいそと工芸展に出かけてみるも、出品されている品々は当然貴重な工芸品。
もちろん手に触れることなどできません。
その緻密で美しい造形に、この銘品はほんとう日用品として使われていたものなのだろうか……という疑念に駆られることも。
というわけで、五感で味わえる工芸品の美を追い求めてみようと思い立ちました。
心への用を満たす、使い心地のよい工芸品とはどんなものだろう。
それともうひとつ。
古来から、ひとの心とお腹を満たしてきたおいしいおやつについても。
美しくておいしい、というのは、工芸品に通じるものがあります……よね。
工芸品についてもおやつについても、個人ブログということでとにかく主観的ではありますが、参考のひとつにしていただけたらうれしいです。
おそらく、購入のしやすさからいっておやつの記事が多めになりそうです……
そんなに頻繁には、そんなに高価なものは、なかなか手に入れることはできませんが、すてきな逸品を少しずつのんびりご紹介できたらと思います。
出典
*1、*2:柳宗悦『民藝とは何か』、講談社、2006年、p65-66
